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     温石おんじゃく物語 昔のカイロ  

Vol.9

今は昔、温石というもなりけり。石や焼き物にて、火鉢にて温め、懐に入れて暖をとるなり。ある人、温石の空きし腹をなぐさむる効をもって、茶席の食膳しょくぜん<を懐石料理かいせきりょうりとす。(1)時代うつりて、温石の世に失わるるも、懐石の名、永く世に伝わるなり。(2)

(1)温石は、懐に入れることから「懐石」ともよばれました。温石には空腹をおさえる効果もあり、茶席で空腹をしのぐ少量のごちそうを「懐石料理」と呼ぶようになりました。

(2)江戸時代中ごろに、中に炭を入れた「懐炉」が登場し、温石はへっていきました。
今では使い捨ての「カイロ」が一般的となり、「懐炉」の字も懐かしいものとなっています。

草庵に温石の暖唯一つ(高浜虚子)

君津市郡遺跡の溝から出土した、滑石製の温石です。
鎌倉時代のものと考えられます。
長さ10.4cm、幅6.7cm、厚さ3.3cm 重量430g


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